[RMT]組織化するゲーム内労働

 RMTが話題になっているのは、多くの人の知る所ですが、最近は、『FFXI』のギルを中国国内においてシフト制にして組織的に稼ぎ、RMTポータルで現金化する動きが出てきている。外国人(おもに中国人)のゲーム内労働が大規模化するにともない、あるゲーム拠点においては、一般参加者の快適なプレイの障害になっていることだ。(http://www.geocities.jp/oisu_ff/)小生も本件については、中国のサイトなどで知っていたのですが、ここ数ヶ月で”被害”が急拡大しており、手口も非常に悪質。ユーザー同士のコミュニケーションの一貫としてのRMTであれば目をつぶってもいいかな、とも思えるが、ユーザーの満足度を損なってしまうような行為は非常に問題とせざるをえない。プレイヤーの遊びを妨げることがつづけば、RMTそのものが問題視される可能性も出てきます。これはRMT業者にとってもデメリットになってしまうだろう。

ちなみに、下記のサイトでは、ゲーム内労働を実際に行っている”地下工場”の様子が既に紹介されている。この地下工場の”標的”は『リネージュ』の韓国サーバーだが、組織化されたバーチャル貨幣稼ぎという”ビジネス体系”のひとつの状況を明確に示している。

成都に存在する”地下工場”は定時出勤という概念があり、タイムカードを打ち、出勤をする、シフト制である、社内食堂で昼食が供給されるなど、あらゆる意味で企業としての組織体系を備えている。広告などを通じて400人のゲームプレイヤーを社員として雇い、効率的な事業運営をすすめている。社員の”給与”は月600元(1元13円として7800円)から始まり、以後は、収集したリネージュ貨幣を元に換算し、それを基準とした歩合制で支払われる。業者の目標はRMTにより利潤というよりは最終的にはMMORPGなどのクオリティを審査する集団を作り上げるための一段階という見解だ。『この経験を通じて、プレイヤーの能力を審査すると同時にゲームテスターになるための安価なトレーニング手法にもなる』

http://games.sina.com.cn/newgames/2004/05/052922675.shtml

【考えるべき課題】下記、案件について今後も吟味する必要があると思われる。
1.ゲーム内世界ならびにそこに存在するアイテムの所有権の所在はどこにあるのか?
2.金銭を得る目的で、ゲームプレイすることは違法か否か?もし、違法であるのなら、何を基準として、ゲームが金銭を得る目的でプレイされることになるのか?
3.ユーザはアイテムを他のプレイヤーとの合意(契約)のもと現金取引するという行為は違法か否か?
4.取引行為が企業単位でおこなわれた場合、企業は、メーカの許諾なしで取引をする権利はあるのか?

このような問題は既に中国だけの問題ではない。RMTのグロバール化は既に本格的になっている。(http://www.wired.com/news/digiwood/0,1412,64638,00.html)組織的ノウハウと、英語というメリットを使い、アウトソースによるゲーム内労働の活動拠点は中国の他に、ロシア、シンガポールが上げられており、当然、先進国の中でも現在の不況などを考慮するとゲーム内労働者の数値は増加の一途をたどるだろう。すくなくともこれらの労働者に支えられて、バーチャルマネーポータルである、IGEなど(http://www.ige.com/aboutus_BO.htm)が利益を得ているというのは事実だと思われる。組織化、しかもグローバル化という意味ではものすごく高度なことをここまですばやく出来てしまうことは今後、この問題がどのように扱われるべきかゲーム運営側とRMT業者間の健全な議論がないまま進んでしまう。現時点では、これは現象としてとらえ、違法か合法か、モラル的にいいことなのか、悪いことなのかといった議論はせず、どのような仕組みでこの”ビジネス”が成り立っているのかをより掘り下げていく。