[行政][メディア]『欲望の門』報道で自主規制を呼びかける中国メディア

中国においては、様々な面で規制、検閲というのがあり、その多くのの規制もかなり、不定期に変更されるため、いまだ名目上法治国家、実質上人治国家という側面をまだ抜け切れないというのが実情です。

これは海賊版問題や、税制など多くの課題となってきていました。ゲームを含む各種メディア表現にも様々な規制があり、オンラインゲーム、パッケージゲームともに厳しい検閲をうけるのは否めません。ただし、「暴力」、「他人への中傷、冒涜」、「邪教」などといったものは実質的に非常にあいまいであり、検閲しにくいのが実情です。
 そのような中でも明らかに検閲対象となるのが「中国行政システムに対する批判的内容」や「性的表現」等についてです。これらの中で、「中国行政システムに対する批判的内容」については、もっとも、迅速に対応しているようです。それは、、04年12月8日に『文化部が『チャンピオンサッカーマネジャ2005(中国版)』の中に独立行政区であるチベットを「中国チベット西蔵)」とサッカーチーム管理用のインターフェイスに記載してある点などをあげ、同ゲームのネットカフェなどにおけるプレイの全面的禁止を報じたというところからも伺えます。また、中国で一大ブームを巻き起こし、第一次ゲーム開発ブームを巻き戻した『コマンド&コンカー』の第3作目でも中国的モチーフのある戦隊ユニットが敵方の役割として登場するということから、発禁処分に、最近も第二次世界大戦を扱ったRTSゲームが、キャンペーンの冒頭で、台湾などが日本領となっていたことを理由に、発禁処分をうけています。
 ただ、このような検閲の全てがトップダウンでやられているとうことでもないようです。最近は、メディアや観客側の自主規制なども多く見られます。ゲームポータルにおける『賭博性的特徴』を持つゲームの問題や、NBA選手が仙人を打ち負かすCFに抗議が殺到する、などです。このようなボトムアップの自主規制は、中国の文化的低俗性を促進してしまう可能性があるもの、中国の品位を問われるような内容に多いようです。
 昨今、ちまたで話題になっている中国企業開発の年齢制限型MMOG『欲望の門』に関しても、老舗のゲームサイト163遊戯チャンネルは、各種媒体の同ゲームに関する報道姿勢に対して批判をする記事が掲載されています。簡潔に言うと、某媒体が青少年に好ましくない影響を及ぼしかねない同ゲームのスクリーンショットを数点掲載するという状況を例に挙げ、集客力があがる、とか情報サイトとしての付加価値があがるからという短絡的な理由から、そのような画像素材を掲載してしまう前に、情報メディアとしての倫理性を確立するという意味でも、そのような行動に関しては慎重でないと、ウェッブメディアそのものの信憑性が問われることになる、といた内容です。中国メディアの自己管理能力に関する今後の展開を感じることが出来ます。ただし、当然のことながら中国独自の倫理観という基準からであり、それ故に今後、中国における報道というのがどのような形で表現に関する制限が加えられていくのか注目されるところです。
【参照URL】
http://games.sina.com.cn/newgames/2004-12-08/092565972.shtml
http://game.163.com/game2002/editor/050202/050202_347568.html
 【参考文献】
『中国ゲームビジネス徹底研究2005』